夏の終わりの線香花火
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もう夏が終わるのになにもしていない。
そう友人に愚痴ると、彼は一本の線香花火をくれた。
「一気に夏が味わえるから」
そういうことだった。
僕はその日の夜、庭で線香花火に火をつけた。
小さな光の玉がパチパチと音を立てながら燃えた。
見つめていると、光の玉はどんどん大きくなりソフトボールほどの大きさになった。
僕はその中に広大な海を見た。
鏡のような海面を優しい風が吹き抜け波紋を作る。
それが現実なのか幻なのか、僕には判断できなかった。
しばらくすると線香花火は急速に小さくなり、元の大きさに戻ると音も立てずに落ちた。
あたりは再び闇に包まれた。
風がふわりと僕の頬を撫でる。
心なしか潮の匂いがした。
ふと空を見上げると、一匹のカモメが弧を描くように飛んでいた。
僕はそこで気がついた。
全身が頭から水をかぶったみたいにずぶ濡れになっていたのだ。
寒い。
僕は身震いし、秋の到来を実感した。
そう友人に愚痴ると、彼は一本の線香花火をくれた。
「一気に夏が味わえるから」
そういうことだった。
僕はその日の夜、庭で線香花火に火をつけた。
小さな光の玉がパチパチと音を立てながら燃えた。
見つめていると、光の玉はどんどん大きくなりソフトボールほどの大きさになった。
僕はその中に広大な海を見た。
鏡のような海面を優しい風が吹き抜け波紋を作る。
それが現実なのか幻なのか、僕には判断できなかった。
しばらくすると線香花火は急速に小さくなり、元の大きさに戻ると音も立てずに落ちた。
あたりは再び闇に包まれた。
風がふわりと僕の頬を撫でる。
心なしか潮の匂いがした。
ふと空を見上げると、一匹のカモメが弧を描くように飛んでいた。
僕はそこで気がついた。
全身が頭から水をかぶったみたいにずぶ濡れになっていたのだ。
寒い。
僕は身震いし、秋の到来を実感した。
公開:20/09/14 22:57
スクー
潮の匂いがする花火
ショートショートに魅入られて自分でも書いてみようと挑戦しています。
悪口でもちょっとした感想でも、コメントいただけると嬉しいです。
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