おのろけ姫

おのろけ姫。それが彼女の仇名だ。
KD会（彼氏をディスる会）の一員となって以来、一度たりともノロケなかったことがなく、誰からともなくそう呼ばれるようになった。
「わかる！私の彼も、よくほっぺたに米粒をくっつけるんだ。ほんとかっこ悪いの。お前の作る飯が旨すぎるからだとか言って、私がとってあげるんだけど」
という具合で、毎回虫酸が走るのだ。

そんなある日、一同垂涎の時が訪れた。
いつにない神妙な面持ちで、彼女は語り始めた。
「浮気……、されたの」
誰かの生唾を飲み込む音が聴こえるようだった。
薄っぺらい同情の仮面の裏から、愉悦の胎動が伝わってくる。
一人が、やさしく彼女の肩を叩いた。振り返った女の隠しようのない笑顔はしかし、まもなく霧散した。
「俺、エマ・ワトソンより、ウォーターストンの方が好きかも、って……ッ！」


ハリポタかよ！しかも続編キャラに乗り換え！
いいじゃん、べつに……ッッ！