選択権、喪失

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「自分の時間を大切にし、やりたいことをして生きていく」

標語ではないにしろ、世間に溢れる空気感は、こんな感じだろう。

「何かを選択するという行為は、集中力と時間を消耗するから、例えば私は毎日同じ服しか着ません」と主張する有名人が、何人もいた。

それが、現代の空気感とマッチした。
政府もその思想を生活様式に取り入れようと、「極力、選択の機会は減らすように」と国民に呼びかけた。
そして、未来へ負の遺産は残すまいと「選択撲滅プロジェクト」が始まった。

例えば、自動販売機に代わり、全自動販売機が先頃開発された。
お金を入れると、ランダムで飲み物が出てくるのだ。
「さて何を飲もうかな」などと、もう迷わなくていいし、選択しなくていい。楽なものだ。

こうして「自分の時間」の確保の為、国民は選択権を段々放棄し始めた。

しかしその結果、海外からは「戦時中の日本、再び?」と警戒されるようになった。
その他
公開:20/09/13 00:05
400文字

文豪たこ( 神奈川 )

「30秒後に意外な結末」がテーマの140字ショートショーティスト。

面白ければそれでよし、と思って書く日々。

2020.7.15『影ができるスプレー』を初投稿。以降、約半年で150作品を執筆。

◎2020.11.15『ハロウィンの怪人』急上昇ランキング2位
◎12.05『星を見つけた』急上昇ランキング1位
◎12.19『無視される日本語』急上昇ランキング3位
◎12.25『高給な副業』急上昇ランキング3位
◎2021.2.6『ひねくれもの』急上昇ランキング2位

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