サヨナラ流しそうめん

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青空に、白い入道雲。
或るひとりが、立ち姿で、雲を見下ろしている。

ひとりは、お箸とつけ汁を持って、上を見た。すると、天からそうめんが流れてきた。ひとりは、それを見送る。
次のそうめんが流れてきた。今度は、それをすくい、口にした。
ずっと見ていると、何かを見分けて、口にするかしないか、決めているように見える。

翌日のことだ。
ひとりが、お箸とつけ汁を持って、上を見ている。
すると、
「え?」
地上から天に向かって、そうめんが流れてきた。
それが続々。次々と、そうめんが天へと流れてゆく。
この異常事態に、ひとりは、安堵の表情を浮かべた。
「やっとこいつとサヨナラできる」
と言うと、お箸とつけ汁を手離した。その瞬間、その二つは雲になり、風に吹かれて消えた。
今年もお盆が終わった。

お盆は、危険。
帰省を装い、現世に違法脱国する者が、一年の中で一番多い季節だから。

天国も例外では、ない。
その他
公開:20/09/13 21:29
更新:20/09/13 21:52
スクー サヨナラ流しそうめん

久保田 人月

よろしくお願いします。
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