おばあちゃんの手がいい

おばあちゃんが作るものは何でもおいしそうだ。
土臭いゴボウを洗っていても、具が無い塩むすびでも、骨が多い魚を焼いていても、なんでもおいしそうに見える。
しかも実際においしい。
そんなおばあちゃんの手は料理を作るだけじゃなくて汚れたものを掃除もする。
トイレも、床の汚れも、僕がスライディングして汚したユニホームもおばあちゃんがきれいにする。
僕だっておにぎりを作ったことだって床掃除をしたことだってある。もちろん手も洗っている。なのに、掃除をした後におにぎりを作ることはなんだか気が引けた。
でもおばあちゃんが作るとおいしそうになる。ふっくらと丸みのあるおにぎりだ。
この間おばあちゃんの手を触ったらシワシワだったけど、厚みがあってパンッとしていた。
僕の手は分厚く、おばあちゃんに似ていた。早速手にシワを書いておにぎりを握ってみた。
三角の頂点が鋭く、ふっくらとはかけ離れた三角形握りが完成した。