河童不動産、泥棒に入られる

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顧客リストをしまっていた棚の鍵が壊され、座敷わらしの情報が盗まれた。やり口は人間らしいが、ここに辿り着くことは不可能だ。神や妖怪がするはずがない。
「まさか」
河童の川太郎は河童連中や狐狸、化け猫等に声をかけるとあっという間に罪人を捕縛、河童不動産に火車で連行となった。
「何でこんな事をした。さっさと言わないと骨までしゃぶりつくすぞ」
化け猫の柊がべろりと罪人の顔を舐めた。
「ひい、すいません」
泣き出した男は幼なじみに詐欺を働いた事を悔い、保険金の受け取りを幼なじみにして自殺をしたがあえなく失敗。噂で知った座敷わらしに幼なじみの家に住んで貰えないかと頼むつもりだったと言う。
「ふん、生き霊か」
「どうします?」
川太郎は柊の顔を見る。
「こやつは、まだ死んでおらん。罪を償う気があるなら人間に返す。ただ、荒らした罪は重いぞ」
柊預かりの元、生き霊が河童に小突かれながら働き始めた。
その他
公開:20/09/12 00:36
河童不動産シリーズ

射谷 友里

射谷 友里(いてや ゆり)と申します
十年以上前に赤川仁洋さん運営のWeb総合文芸誌「文華」に同名で投稿していました。もう一度小説を書くことに挑戦したくなりこちらで修行中です。感想頂けると嬉しいです。宜しくお願いします。

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