博士の耳栓

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プライド博士は有名な発明家である。
日夜研究と試作に明け暮れ、突飛な発明をしては周りを驚かせる、良くも悪くも名高い発明家なのだ。
やはり有名人ともなると、批判の声も尽きない。時には賞賛をかき消す程の大声で発明を批判される。
ある日、博士は耳栓を作った。ただの耳栓では無い。聞きたくない音だけ聞こえなくなる耳栓、という代物だ。
博士は助手と、自身の妻の声だけ聞こえるように設定し、四六時中耳栓を装着するようになった。すると、驚くくらい静かになった。耳鳴りの音が脳に響くくらいには静かだ。時折助手と会話をし、妻と他愛ない談笑をする。博士の心は満ち足りていた。
気付いたのは賞賛も批判も大差無いという事だ。どちらとも同じくらい耳に悪い物なのだ、と。
ある日博士は耳栓を外し、称賛と批判の入り乱れる闘乱へと赴いた。彼らは醜く争っている。
博士はそのど真ん中に爆弾を落とした。轟音は止み、博士は耳栓を捨てた。
その他
公開:20/09/11 20:52

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