河童不動産ー貧乏神、人里に下りる
4
4
「管理人さん! マンションの外にゴミが捨ててあるんだけど」
女はカモが自殺未遂を起こしてイラついていた。
「どこですか?」
「そこに・・・・・・ないわ」
「はあ、巡回してみます」
「ああ、嫌」
行き付けのバーのドアを乱暴に押す。マニキュアが剥げた指先でナッツを口に放り込み、アイスブルーのカクテルに口を付けた。しゅるりと首筋に冷たいものを感じ、身震いする。
「彼女と同じものを」
隣に細面の男がすっと座って女に微笑みかけた。
「そのネクタイ素敵ね。プレゼントかしら」
「いえ、自分で。安物ですよ」
女はそのネクタイがブランド物と知っていた。
「乾杯しましょうか」
男の誘いに女は笑みを浮かべた。
ーーあれは人間か?ーー
結婚詐欺師が女に言い寄る。女が男から搾取した分、この男にむしり取られるだろう。貧乏神は地団駄を踏んだが、これも貧乏神効果と言えた。
「貧乏神さま」
狐が目をつり上げて立っていた。
女はカモが自殺未遂を起こしてイラついていた。
「どこですか?」
「そこに・・・・・・ないわ」
「はあ、巡回してみます」
「ああ、嫌」
行き付けのバーのドアを乱暴に押す。マニキュアが剥げた指先でナッツを口に放り込み、アイスブルーのカクテルに口を付けた。しゅるりと首筋に冷たいものを感じ、身震いする。
「彼女と同じものを」
隣に細面の男がすっと座って女に微笑みかけた。
「そのネクタイ素敵ね。プレゼントかしら」
「いえ、自分で。安物ですよ」
女はそのネクタイがブランド物と知っていた。
「乾杯しましょうか」
男の誘いに女は笑みを浮かべた。
ーーあれは人間か?ーー
結婚詐欺師が女に言い寄る。女が男から搾取した分、この男にむしり取られるだろう。貧乏神は地団駄を踏んだが、これも貧乏神効果と言えた。
「貧乏神さま」
狐が目をつり上げて立っていた。
その他
公開:20/09/12 21:01
河童不動産シリーズ
貧乏神
結婚詐欺師
射谷 友里(いてや ゆり)と申します
十年以上前に赤川仁洋さん運営のWeb総合文芸誌「文華」に同名で投稿していました。もう一度小説を書くことに挑戦したくなりこちらで修行中です。感想頂けると嬉しいです。宜しくお願いします。
ログインするとコメントを投稿できます