【神の図鑑】友愛のストルゲ

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友愛"ストルゲ"は人類に最初に芽生える愛。知らぬ間に図鑑に追加されたそのページをレイは興味深そうに眺めている。

ーー祭囃子の音が聞こえる。

風車が夜風に回り、カランコロン下駄の音。夏祭り、色鮮やかな屋台の灯り、賑やかな神社の境内。
「トモ、あまりみないで…恥ずかしいよ」
幼なじみのマナが照れた様子で呟く。紫陽花柄の白い浴衣から覗くうなじにドキリとする。
金魚にヨーヨー、射的。りんご飴で赤くなった口元を笑い合った。「今日こそ」固めた決意も揺らぎそうだった。友達のままで十分…。飲み物を買いに出た、その時だ。
「邪魔なら主のその友愛、我が引き受けよう」
毛並みの良い犬に紐で括り付けられた本が喋る異様さよりも先に、トモが頷く。マナに対する友情と別の感情が芽生えていたこと、とっくに知っていたじゃないか。
「マナ、聞いて欲しい事があるんだ」
花火に照らされた唇に触れる感情は、りんご飴の味がした。
青春
公開:20/09/10 19:23
更新:20/09/10 20:45
図鑑シリーズ③ レイお留守番 友愛・ストルゲ 友情・家族愛を司る愛 ユウとマナ

空津 歩( 東京在住 )

空津 歩です。

ずいぶんお留守にしてました。

ひさびさに描いていきたいです!


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