盗撮

前から幸せそうな男女が歩いてくる。俺は二人に気付かれないよう盗撮を働いた。
ここですぐに確認するは三流。俺は自分の技に自信を持っている。だからそのまま依頼人の部屋へと足を進めた。

「貴方が盗んで欲しかった写真データはこちらですね？」
俺は自身のスマホを差し出した。画面に映るは裸の女の写真。
それを見て、依頼人の女性は「これです！」と声を荒げた。
確認が済んだところで俺はそのデータを消去する。
「これでもう、貴方がリベンジポルノやその類の脅迫に怯える事はありません」
そう告げると女性は安堵し、泣き崩れた。

俺は盗撮のプロだ。盗撮といっても盗み撮る盗撮ではない。撮影されたものを盗む盗撮だ。
俺の主な仕事は満員電車で盗撮を働く者からデータを盗み、警察に提出する事である。
最近じゃ盗撮がバレた途端、データを消そうとする輩も多いからな。
お前は盗撮写真に興味がないのかって？
あのな…俺は女だぞ。