レース
8
8
相馬野馬追い祭りのパズルが完成した瞬間、野良猫が雀を追っかけて家の中に飛び込んできた。二匹が暴れて飛び回り、あっと声を出す暇もなくジグソーパズルはバラバラになった。泣きながら徹夜でピースを組み立てると何故か馬の部分がそっくりない。
呆然と空白を見つめていると、インターフォンが鳴る。
「急にごめんね。下の子が風邪ひいちゃって病院に連れて行きたいんだけど、今日に限ってまーくん駄々こねて」
四歳になる甥の誠がミニカーを両手に部屋の中にずんずんと入って行くのを止められず、振り向いた時には姉はお辞儀をして出て行った。
「ぎゃあああん」
車取られた、馬が恐いと叫ぶ。野馬のピースが床に散らばりその代わり誠のミニカーが無くなっていた。誠を宥めブルーインパルスのジグソーパズルを庭に出す。冷たい風に乗って二台のミニカーが庭に着地し、すぐに二機の機体が空に飛んでいく。
「誰か乗ってたね」
誠が空を指差した。
呆然と空白を見つめていると、インターフォンが鳴る。
「急にごめんね。下の子が風邪ひいちゃって病院に連れて行きたいんだけど、今日に限ってまーくん駄々こねて」
四歳になる甥の誠がミニカーを両手に部屋の中にずんずんと入って行くのを止められず、振り向いた時には姉はお辞儀をして出て行った。
「ぎゃあああん」
車取られた、馬が恐いと叫ぶ。野馬のピースが床に散らばりその代わり誠のミニカーが無くなっていた。誠を宥めブルーインパルスのジグソーパズルを庭に出す。冷たい風に乗って二台のミニカーが庭に着地し、すぐに二機の機体が空に飛んでいく。
「誰か乗ってたね」
誠が空を指差した。
その他
公開:20/09/11 19:58
神のレース
神の通り道
射谷 友里(いてや ゆり)と申します
十年以上前に赤川仁洋さん運営のWeb総合文芸誌「文華」に同名で投稿していました。もう一度小説を書くことに挑戦したくなりこちらで修行中です。感想頂けると嬉しいです。宜しくお願いします。
ログインするとコメントを投稿できます