綿雲作り

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天界では、神様の子供たちの間で綿雲作りが人気だ。
人間が綿菓子作りで使う遠心分離機のような装置に、ざらめに似た雪氷の粒を入れて大気の流れでくるくる回すと、ふわふわした綿雲が出来上がる。
一家に一台、綿雲機があるほど社会現象となり、子供たちは、より大きな綿雲を作ろうと、夢中になって競い合った。
だが、子供たちが出来上がった綿雲を食べ損ね、過って下界に落としてしまうことがよくあった。
すると、下界では突如、巨大な台風が異常発生して大変なことになった。地球規模の気候変動が激しくなったと、科学者は挙って警鐘を鳴らす。
実は最近、台風が続出しているのは、天界の綿雲作りブームのせいだったとは神のみぞ知る。
その他
公開:20/09/11 19:42
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SHUZO( 東京 )

1975年奈良県生駒市生まれ。奈良市で育つ。同志社大学経済学部卒業、慶応義塾大学大学院政策・メディア研究科修了。
田丸雅智先生の作品に衝撃を受け、通勤中や休日などで創作活動に励む。
『ショートショートガーデン』で初めて自作「ネコカー」(2019年6月13日)を発表。
読んでくださった方の琴線に触れるような作品を紡ぎだすことが目標。
2022年3月26日に東京・駒場の日本近代文学館で行われた『ショートショート朗読ライブ』にて自作「寝溜め袋」「仕掛け絵本」「大輪の虹列車」が採用される。

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