【神の図鑑】利愛のプラグマ

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バイト先の古本屋の常連客は絵に描いた家族の理想そのものだった。

神棚に給料袋を置く。手を合わせる。両親の遺影は変わらぬ表情でレイに笑いかけた。

「いつもありがとう。レイ。」

天涯孤独のレイに居場所をくれた。叔父夫婦には感謝している。だが、それに応える方法は、労働以外に思い当たらない。渡している給料は、信者である叔母により、新興宗教「博愛会」に寄付されているのも知っていた。叔母夫婦に子供はいない。精神を病んだ時期もあったらしいが「博愛会」に救われたとよく叔母は話す。

古本屋で常連の家族を見ると、ふわふわした気持ちが湧く。それが羨望だとすぐには気づけなかった。

「…利愛・プラグマの匂いだ。」
取り寄せの古本を配達の時、常連家族の家の前で図鑑が反応を示す。

「レンタル家族終了のお時間です。延長しますか?」

設計された愛。利益の共依存。
図鑑に利愛(プラグマ)のページが追加された。
その他
公開:20/09/11 19:17
神の図鑑シリーズ④ 利愛・プラグマ 計算された愛・利害の一致 婚活はプラグマに近い

空津 歩( 東京在住 )

空津 歩です。

新シリーズ「人喰い病院」はじまりました。

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報道

マイペースに描いていきたいです!

SSG1周年!

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