香る人生、命の炎

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彼女に連れられ、アロマキャンドル教室へとやってきた俺は早々に魅了された。
蝋燭を見守る仕事をしている俺にとって蝋燭は蝋燭でしかなかった。
対した変化のない蝋燭を毎日見守る。とても退屈な日々を彼女が変えてくれた。
俺は翌日から職場の蝋燭を徐々にアロマキャンドルへと変えていく。
するとどうだ。”命の蝋燭”がアロマキャンドルに変わったんだ。人生は香しく、周りを惹き付けるものとなった。
命の蝋燭をアロマキャンドルに変えた事で多くの人生がその在り方を変えていった。
彼女にお礼をしたい…そう思った俺は風前の灯火であった彼女の命の蝋燭を蚊取り線香へと換えた。
『君が細く長く生きてくれますように。願わくば、俺と一緒に』
俺のプロポーズに彼女は一つ注文を付けた。蚊取り線香の反対側に俺の命の火を点けてくれと願った。
「死が私達を分かつのではなく、死が私達を結ぶの」
彼女は人。俺は死神。命と愛の炎が惹かれ合う。
公開:20/09/11 19:04

幸運な野良猫

元・パンスト和尚。2019年7月9日。試しに名前変更。
元・魔法動物フィジカルパンダ。2020年3月21日。話の流れで名前変更。
元・どんぐり三等兵。2021年2月22日。猫の日にちなんで名前変更。

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