9月9日

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パタ パタパタパタ
―うわぁ!真っ黒だよ。美咲強すぎ!
―いやいや、結衣が弱すぎなの。ひゃひゃ、暗黒の世界~
放課後、神社の境内で、二人はミニオセロをしていた。
―オセロって黒と白で陰と陽って感じね。
―陰陽思想では、奇数は陽、偶数は陰なんだよ。
―へー、結衣は物知りだね。ねぇ、今日って9月9日じゃない。
スマホのカレンダーを見ると、日付の下に小さく「重陽」と書かれていた。

蝶が美咲の頭にとまった。
―美咲、しー。
囁く蝶に耳をすますと、菊がほしいと言っていた。美咲は結衣に言われるままに、階段脇の白い菊を1本折って、頭の上の蝶に差し出した。

今までどこにいたんだろう。沢山の蝶が1本白い菊のまわりに集まって、たちまち菊は太い円柱になった。色とりどりの薄い羽が動く円柱に。その瞬間、美咲の手がふわっと軽くなったかと思うと、眩しい光の円柱が空の方へと飛んでいった。

あの菊、蝶用だったかな?
青春
公開:20/09/09 15:57
更新:20/09/09 16:09

マーモット( 長野県 )

初投稿は2020/8/17。
SSGで作品を読んだり書いたり読んでもらえたりするのは幸せです。趣味はほっつき歩き&走り(ながらの妄想)。
 

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