水の呪い

　ある町のある家に、素晴らしく美味しい湧き水があった。
　富豪の男はその水を独占するべく、地主の女に譲渡するようもちかけた。しかし、「この水は皆の物です。あなただけのものではありません」と断った。
　憤慨した男は虚偽の犯罪を捏造し、女を告発した。裁判の後、女は絞首刑に処せられた。だが、死の直前に、「私の死によって、あの水は呪われるだろう」という言葉を吐いた。
　その時は、誰もそんな話は信じなかった。女の死体は葬ることさえ許されず捨てられた。

　その後、男は望みどおりに湧き水と土地を手に入れ、そこに大豪邸を建てた。

　けれど――水の呪いは本当に、あった。
　引っ越した日の翌朝、男と男の家族がダイニングで全員死亡している姿が発見された。胃と肺から大量の水が溢れ、死因は"溺死"とされた。だが、本当のところはわからない。

　この豪邸と湧き水は、300年たった現在も○○の町に残っている……。