クジラたちの日光浴（後編）

昼寝に飽きたのか、二頭のクジラは器用にヒレを使い、巨体を揺すりながら、海に入って行った。
さよならを言うように潮を大きく吹くと海中に潜って見えなくなった。

シャチも「あばよ」と言って二頭共帰っていった。

イルカは「バイバイ」と言って二頭共帰っていった。

父親と二人だけになった男の子が大きなサングラスを見つけた。
「クジラさんが忘れていったんだ。どうしよう」
イルカもシャチも帰ってしまったので託せない。
父は言った。
「明日になればまた来るだろう。置いといたらいいよ」
息子はそうすることにした。

夕日がきれいな時間になった。
「みんな夏休みの宿題、終わったのかなぁ」息子が呟いた。
「終わった子もいるだろうね」父が言った
「手伝ってやるよ」
「うん！」息子は元気になった
「さあ、帰ろうか」父はそう言うと立ち上がって家に向かった。
男の子はその後を付いて行った。時々海を振り返りながら。