さいごの日

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夕暮れの空の青はだんだん濃くなり、雲は茜に染まっていく。

街は瓦礫の山だ。
道の上には文明とか技術の真髄とか呼ばれていた物の断片で埋め尽くされている。

そうか、今日が終末の日なんだ。
隕石でも落ちたのかな。
どうやって生き残ったのだろう? 記憶がない。
もしかして他にもどこかに生きている人が?

僕はとりあえず探すことにした。
未来はないかもしれないのに。

しばらく歩くと空中にイルカが浮かんでいた。
「オ・ナ・カ・ス・イ・タ」

ありえない光景を僕はすんなり受け入れた。
ひとりじゃないことにほっとしたからだ。

「ええと、食べ物持っていたかな」
あちこち破れたポケットには食べかけのメロンパン。
「これしかないけど」

半分ちぎってイルカに差し出すとパクっとくわえ、くるんと回転した。
「ア・リ・ガ・ト・ウ」

群青から濃紺へ。茜色も融けて消えていく。

今日が終わってしまう。
ファンタジー
公開:20/09/10 08:40

さとうつばめ( 東京 )

東京生まれ。
読書するジャンルは時代もの多め。ふふ。

*プロフィールお堅いので変えました。
書くの面白くて連投しましたが、長く続けるためにゆるゆるやっていこうかな。

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