隣の芝生は青い話

36
18

金崎蔵之介はインサイダー取引で莫大な金を手にした。
彼は丘の上に豪壮な邸宅を構え悠々自適の生活を始めた。
愛人を何人も住まわせ、専属シェフに毎晩高級フレンチを作らせた。
だが、なぜか彼の心は満たされない。
丘の上から見下ろすと、貧民窟に貧しい夫婦が暮らしていた。
二人はとても幸せそうに見えた。
俺とアイツらと何が違うというのか——。
金崎はエージェントを雇い、この夫婦の使っていた安物の皿を一億円で買い上げてこいと命じた。
夫婦はすぐに皿を売った。
ククク思った通り金欲の強い奴らだ。今に俺と同じ道を辿るに違いない——。
しばらくすると夫婦は子供食堂を作った。
地域の貧しい子供達が集まり笑顔が溢れた。
夫婦はやはり幸せそうだ。
気に入らない!
金崎は食堂の隣の土地を買い上げて大きな公園を作った。
子供達は喜んだ。
見たか、俺の方がすごいんだ!
金崎は悪い笑みを浮かべ、その後泣きそうな顔をした。
その他
公開:20/09/09 22:45

水素カフェ( 東京 )

 

最近は小説以外にもお絵描きやゲームシナリオの執筆など創作の幅を広げており、相対的にSS投稿が遅くなっております。…スミマセン。
あれやこれやとやりたいことが多すぎて大変です…。

コメント投稿フォーム

違反報告連絡フォーム


お名前

違反の内容