【神の図鑑】狂愛のマニア

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名もなきその犬はチヌークという犬種であるだけで、そこにいた。「血を抜く」の意味はなく、イヌイット語「暖かい冬の風」を意味する希少種だ。その他に交配による多くの雑種が幽閉されていた。彼は文字が読めた。そのため日誌を盗み見て、主の異常性が理解できた。

×月○日
希少種ゲット。死んだ雑種二匹は冷凍しよう。

×月□日
交配成功!失敗も多いがゴミの日でよかった。

×月△日
チェンソーが届いた。売れ残りは減らすか。

チヌークは首輪を鎖に繋がれ抗うことも出来ない。
チェンソーの轟音に目を伏せた刹那、扉が開き、本を持ち、青年は現れた。

「随分集めたものだ。マニア。」

本て喋るんだっけ?犬は思う。

「薄汚い知識ばかり。吸う身にもなれ…」

本が飼い主から何か吸っている。血かもしれない。

「もう大丈夫」

青年に「クピド」と名付けられた犬はその時、名も知らぬ温かな感情が湧くのを感じていた。
ホラー
公開:20/09/09 19:22
更新:20/09/10 18:16
犬からしたら相当ホラー クピド【ローマの恋の神】 キューピッドの意 神の図鑑シリーズ② 狂愛・マニア 収集欲や独占欲を司る愛 サムネはチヌーク 日記の悪行は 悪質ブリーダーの実話 「智を抜く」と駄洒落

空津 歩( 東京在住 )

空津 歩です。

新シリーズ「人喰い病院」はじまりました。

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マイペースに描いていきたいです!

SSG1周年!

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