Runner & Intimidator 後編

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『残り20キロです』
「ひとつ、聞き、たい…」
 疲労は既にピークを迎え、激しく息を喘がせて女が言った。
『何です?』
「…アンタの、目的は、何なんだ?」
『…私は脅迫者であり――あなたを応援する者です。それだけです』
 機械の声が笑った。
 負けるわけにはいかなかった。

『残り10キロ…ですが、残り時間も残り少ないですよ?』
「畜生っ…」

 脚が痙攣し、汗と埃が顔と髪を汚し、激しい内臓の痛みを堪え――女は、ついに、地獄のような行程を経て、母の待つ自宅まで走り抜いた。
「母さんっ!」
 ボロボロになった娘の来訪に、母は驚き、抱き締めた。意識を失いかけた女の耳元に、またも、機械の声が喋りかけた。
『…やはりあなたは"天才"だ』
 女は何も答えなかった。ただ、母の無事を喜び――走り終えた両脚を優しく撫でた。


『現役復帰、お待ちしてますね…さもないと…』
 脅迫者の声が、また笑った……。
ホラー
公開:20/09/09 18:58
更新:20/09/10 14:14
マラソン 脅迫 休日なので適当なの作るw

Sees

ショートショート好き。
得意ジャンルはホラー。
座右の銘は『清く正しくいやらしく』。
好きな書籍は『悪魔の辞典』と『悪魔の寓話』。
制限400字という発想に感銘。
コメントとフォローはできるだけ返します。

楽天ブログにて『株式会社SEES』の名でショートショートと短編小説掲載中。
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さて、今日はどんな事件が起きることやら……。



 

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