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「ハナ、おいで!」
こう言うと、愛犬のハナはこちらに駆け寄ってくる。
犬種はポメラニアンで、毛色は白、ところどころに薄茶色も混ざっている。
「お座り!」
ハナは腰を下ろした。
「お手!」
ハナは、ぼくの左手に右前足を重ねた。
「おかわり!」
今度は、ぼくの右手に左前足を重ねた。
「にんげん!」
キャンと鳴いたハナは、まばゆい光に包まれた。
気づけば目の前に、白いワンピース姿の女性が立っている。
明るい茶髪に、透明感のある肌。そして、まんまるで大きな瞳。
「あの…結婚してください」
『…はい』
ハナは微笑むと、再びまばゆい光に包まれた。
現れたハナはウェディングドレス姿で、いつの間にか、ぼくも白のタキシードを身に纏っていた。
「それじゃあ…誓いのキスを」
『…はい』
ぼくらは、唇を重ね合わせた。

こうしてぼくらは結婚した。
今じゃ、「お手」なんて言わなくたって、ぼくらは手を繋いで街を歩く。
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公開:20/09/07 20:51
更新:24/01/29 00:16

日常のソクラテス( 神奈川 )

空想競技コンテスト銅メダル『ピンポンダッシュ選手権』
空想競技コンテスト入賞  『ダメ人間コンテスト』
ベルモニー Presents ショートショートコンテスト入賞 『縁茶』
X (twitter):望月滋斗 (@mochizuki_short)

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