胸を借りる

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競技前、私は妻に抱きしめられていた。こうしないと私は落ち着かない。
今日も最高のパフォーマンスを出す為に妻の胸を借りている。
周りからは「まるで赤ちゃんみたいだ!」なんて言われる。「ビックベイブ」と笑われている事も知っている。
それでも私は妻の胸を借りる事をやめられない。
「ありがとう。もう大丈夫だ」
妻から離れ、競技へと向かう。

『優勝おめでとうございます。今の喜び、誰に伝えたいですか?』
インタビュアーの質問に「勿論、妻です」と即答した。
今日も妻のおかげで勝利出来た。
「妻の胸に抱きしめられる度に、私は強くなれるんです」
その言葉に偽りはない。私は妻の為に日々、強くなる。
妻が胸を貸してくれるからこそ、度胸が増しているんだ。
そして借りたものは当然返さないといけない。
妻に感謝の旨を伝えるのは当たり前だ。
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公開:20/09/07 19:12

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