音を奏でるフルーツ
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とにかく遠くに行きたかった僕は、いつの間にか小さな村にやって来ていた。
するとお祭りのように人が集まっている。
「あの、何か始まるんですか?」
僕がそう尋ねると青年は親切に答えてくれた。
「果物の演奏会です」
「はい?」
「この村の果物は自然といい具合の穴や空洞が空いて育つんです。それらは笛のように音を奏でます。よかったら見ていってください」
青年曰く、年に一度強い風が10分間吹き続け、畑の果物が一斉に音を奏でるそうだ。
僕は聴いていくことにした。
「そろそろですよ」
一瞬微かな風を感じると、強風が村を吹き抜けた。
たくさんの果物の音が合わさって美しい音楽に……。
と思ったが、実際はひどい不協和音でしかなかった。
「ちょっと、どういうことですか?」
「言い忘れてました。その年の果実のなり方や風の向きによって音は変わるんです。今年は最悪でした」
ひどい音楽だったが、僕は少し元気になれた。
するとお祭りのように人が集まっている。
「あの、何か始まるんですか?」
僕がそう尋ねると青年は親切に答えてくれた。
「果物の演奏会です」
「はい?」
「この村の果物は自然といい具合の穴や空洞が空いて育つんです。それらは笛のように音を奏でます。よかったら見ていってください」
青年曰く、年に一度強い風が10分間吹き続け、畑の果物が一斉に音を奏でるそうだ。
僕は聴いていくことにした。
「そろそろですよ」
一瞬微かな風を感じると、強風が村を吹き抜けた。
たくさんの果物の音が合わさって美しい音楽に……。
と思ったが、実際はひどい不協和音でしかなかった。
「ちょっと、どういうことですか?」
「言い忘れてました。その年の果実のなり方や風の向きによって音は変わるんです。今年は最悪でした」
ひどい音楽だったが、僕は少し元気になれた。
公開:20/09/07 16:38
ショートショートに魅入られて自分でも書いてみようと挑戦しています。
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