タイムスリットの脅威（４）突破口　～タイムダイバーシリーズ～

突破口はあるか。

ＡＩタイマーには時空線レーダーが組込まれている。
直前までタイムスリットを発見できなかったのは、急に発生したからだろう。
過去に向かって分岐する時空線のみが発生したとすれば戻れる。
だが、時空線が増殖し、分岐が分岐を生んでいることを多次元トポロジックレーダーが捉えている。
未来に向けて走る分岐もあるからやっかいだ。判断を間違えたら元の世界に戻れなくなる。いつまでも同じ状態とは限らないからだ。観測では実際にそうだ。

俺たちは慎重に未来へと浮上することにした。
一つ分岐バイパスを見つけたが、『その時空線にはピラミッドが存在しません』とタイマーが警告した。明らかに別の時空線だ。

そして時空線がスパゲッティのように絡まっている時間相を発見した。第３休止点だ。
ＡＩタイマーと俺たちは協力して虱潰しに探した。アマテラスの量子コンピュータも５次元化したトポロジー計算にフル稼働だ。