卵かけご飯自動販売機　～箸休めシリーズ～

雌鶏の横に新しくできた自動販売機は、卵かけご飯自動販売機だった。
今度は雄鶏だった。

熱々のご飯に見事な卵がのせられ、よく合う醤油もかかっていた。
絶妙の配合なので誰も文句はなかった。
竹製の割り箸がついており、混ぜ方は各人の好みだ。

「20分以内にお食べください」と雄鶏は注意するが、皆５分程度で食べきった。
ミネラルウォーターを欲しい人は買って飲んでいた。
朝の会社員に人気があるが、高校生、大学生も使っていた。
ほんの5秒で出てくるので行列にはならない。
雨の日はお休みだった。
梅雨時も念のためにお休みになる。

ある時、雄鶏の自動販売機が倒れていた。故障したらしい。
修理員がやってきて、雄鶏の蓋を開けて中を覗き込んだ。
「原因がわからないですね」
そう言うと修理員は雄鶏を分解していった。
「わかった、これだ！」

雄鶏は自分も食べたくなって卵かけご飯を食べ、喉に詰まらせたのだった。