ダブル・プラトニック・スゥサイド

2
4

「ねぇ。」
「ん?」
「今、私が、時間を止められる時計を持ってるって言ったら、どうする?」
「さあ、どうもしないさ。どうせ、『今止めたけれど、君は気付かなかったね』とか言うつもりだろ?」
「ううん、違うの。この時計は、止めたら最後、もう時を動かすことはできないの。」
「それじゃあ、それは何のために使うんだ。」
「心中よ。」
「心中?」
「そう。痛みを伴わない、完璧な死。どう?」
「どうって… 俺は嫌だな。俺たちの愛はまだまだこれからじゃないか。」
「限界効用逓減の法則って知ってる?」
「は?」
「人は満たされると却ってそれが苦痛になるという現象のこと。私たちの愛だって、そんなものだと思わない?」
「それは詭弁だね。だって…(言葉が詰まる)…大体、そんなものどこで手に入れたんだ?」
「私がたまたま入った古物店で売ってたの。」
「時を止められるという確信もなしに?」
「数量限定だったのよ。それ
公開:20/09/08 07:25

コメント投稿フォーム

違反報告連絡フォーム


お名前

違反の内容