月面クロスカントリー

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どれほど科学が進歩してもそこには命の危険が伴う。
それでも目指す人間がいるのはそこに浪漫があるからだろう。
月面クロスカントリー。月を歩く。それだけの為に僕はこれまで人生の殆どを費やしてきた。
「学、進行方向が左にややずれている。一時の方向に3キロ進めば補給基地がある」
「了解」
宇宙服に内蔵されたスピーカーからオペレーターの指示を受ける。この競技はチーム戦だ。計測、整備、ナビゲート。仲間の助けがあって初めて僕は月を歩く事ができる。チームの中には代表選考の過程で補助に転向した仲間もいる。誰もが望んだ場所に立てる訳じゃない。
「ねぇ、勇」
「なんだ?」
「いつか皆で月を歩きたいよ。ここを目指したチームの皆と」
「それは言いっこなしだ。皆、納得してお前を送り出してる」
「だけど…」
「いつかそんな日も来るさ。日進月歩、技術は進歩しているんだからな」
大切な仲間の言葉を胸に僕は確かに歩を進める。
その他
公開:20/09/06 22:55
更新:20/09/06 23:08

エビハラ( 宮崎県 )

平成元年生まれ、最近はショートショートあまり書いていませんでした汗
ログインできてよかったぁ…

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