虹雲奪還狂想曲

2
3

八月の満月の夜の上空に突如現れる「虹雲」。

七色をランダムに点滅させ、ホタルのように光っては消えを繰り返しながら上空を優雅に浮遊する。

虹雲は繊細な生き物のなので、滅多に姿を見せない。この虹雲を専用のガラスの筒に7色の状態で捕まえられた者は、願いが叶うという。

今宵、この虹雲を求めてたくさんの飛行機が空に向かった。

六郎は何としてでも虹雲を捕まえたかった。
体の不自由な祖父の代わりに虹雲を捕まえ、祖父の願いをかなえてやりたいからだ。
六郎は、寝たきりの状態の「祖母の笑顔が見たい」と、祖父がポツリと言ったのを聞き逃さなかった。

「絶対に捕まえてやる」。

体が熱いのはその想いのせいだろうか。それとも本当に捕まえられるか不安な気持ちの表れか。

とその時、有色のものを目の端でとらえた。
その方向に舵を切る。

慎重に近づき、せーので捕まえたものは・・・

虹雲ではなく流れ星だった。
ファンタジー
公開:20/09/06 22:44
更新:20/09/06 22:47
夜空 満月

清水えまい( 東京 )

以前から書いてみたいと持っていたショート×ショート。
ようやく書き始めることができました。
自分自身楽しみながら執筆できたらなと思います♪

コメント投稿フォーム

違反報告連絡フォーム


お名前

違反の内容