文霊

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 文章や絵画に魂が宿るという考え方は古今東西にあって、パリ・オペラ座の二重天井も画家シャガールのそのような信仰に依っているという。
 物書きなら経験があるだろう。書いた作品をボツにしたことが。失敗作というか駄作というのか、人に見せるのが恥ずかしいとか、下品すぎるとか、単純に面白くないとか・・・
 ボツにも魂は宿る。もし、ボツの霊が姿を見せたなら、霊媒師を頼むのも手段だろう。

「どうも憑かれていますね。霊の仕業で間違いないでしょう。」
「不幸が続いていたんですが、やっぱりそういうのなんですね。一体、何の霊ですか?」
「ある意味であなた自身ですかね。ボツにした作品を綴じて冊子にしてください。その上で『没』と赤字を入れるのです。」
「そ、それだけ?」
「ええ、それが封印の儀式です。」
「うう・・・ まだネタとして使えそうなのに・・・」
「なるほど、それは霊媒師の話ですね。」
「あれ、君は!?」
その他
公開:20/09/06 21:33
霊魂 霊媒師

NfMM

54字に収まらなかったアイデアの捌け口。
あまり人の作品は読みませんので、悪しからず・・・

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