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パーン!!

足を蹴り出し、一気にスピードを上げ、徐々に体を起こす。

暗闇を走っていた。

見なかったが、隣には苦楽を共にしたあの背中があることを知っていた。

暗い宙を蹴り、僕は、はるか遠くの淡い光に向かい走っていた。



息が切れてきて、足も痛くなってきた。

ただあの光にたどり着きたくて、憧れて、力一杯走っていた。



脳内に、声が響く。

お前にあの光がつかめるわけがない。

するとたちまち、甘くて暖かい、柔らかい風が吹いてきた。

その風の隙間に、女神の微笑みが見えた。

やさしい女神は自分を抱きしめ、心地よい光で包んでくれた。

ああ、楽になりたい。



手を伸ばすと、世界が眩み、また元の暗闇に戻っていた。

自分よりはるか先に、あの背中が見えた。

まだ走っていた。

僕の中に熱いものがこみ上げてきて、たまらなくなって一つ笑うと、僕はまた走り出すのだった。
青春
公開:20/09/06 21:20

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