ジャックの豆の木

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 かつて忍者はその跳躍力を高めるために、庭に植えた木が芽を出してから、毎日それを飛び越える訓練をしたらしい。これは初めは楽だが、木が成長するに従って次第に困難になっていく。
 そして、これが正式な競技として認定された。競技者は、前回の大会終了後から競技の直前まで自分の好きな時期に種を植えてよい。そして、自分の植えた木を飛び越えることができた者のうち、最も高い木を植えた者が優勝となる。
 この競技では、ただ単に木を大きくするだけではいけない。それを自分自身が飛び越えられなければ意味がないのだ。かといって、余りも低い木を植えては他の競技者に負けてしまう。
 そこでジャックは一計を案じた。ご先祖様から受け継いだあの豆の木を競技の前日にちょうど地球の裏側に、しかも出た芽を逆さにして植えたのだ。地球の真ん中を通って梢だけを競技場に見せたその木を楽に飛び越え、ジャックは優勝して金の卵を得たとさ。
 
ファンタジー
公開:20/09/06 21:02
更新:20/09/06 22:11
空想競技2020

ToshijiKawagoe( 北海道 )

・『SFマガジン』 2011年10月号「リーダーズ・ストーリィ」 掲載
・『公募ガイド』第22回小説の虎の穴、佳作
・ 樹立社ショートショートコンテスト2012、5等星
・ 第157回コバルト短編小説新人賞、もう一歩の作品
など、SF、ミステリ、童話、純文学など分野を問わず、ショートショートから短編、長編にとチャレンジしてきました。
 しばらくご無沙汰していましたが、最近復活しました。

ブログ http://rashi.cocolog-nifty.com/
 

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