スワンプガール

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仲の良い家族がピクニックへと出掛けた。父と母、それと九歳になるメアリが一人。
見晴らしのいい平原にシートを敷き、その上にサンドイッチや果物を並べ、談笑しもって暫し団欒の時間を過ごした。やがてメアリは飽きがきて、一人遊び回ることにした。両親は心配したが、結局あまり遠くまではいかないという約束を結び、少女は一人パタパタと平原を駆けていった。
メアリが気ままに進んでいると、不意のぬかるみに足を滑らせた。個体と液体の狭間のような沼が転んだ彼女の体を掴む。立とうにも足が滑って上手く立てない。もがけばもがくほど沼に引きずり込まれていく。少女は声にならない悲鳴を上げ、恐怖のあまり一瞬視界が暗転した―――

気が付くとすぐ側に父と母が居る。心配して迎えに来たらしい。少し叱られ、日も暮れ始めたので三人は荷物を片して帰路に着いた。
数日後、平原の沼地で少女の遺体が見つかったらしい。
メアリにそっくりな遺体が。
その他
公開:20/09/07 07:09

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