294. 涙合戦

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毎春恒例の涙合戦。
この学校では新学期恒例の一大行事だ。
各選手は緊張の面持ちで教室の席にそれぞれ座っており、机上には短編小説とノートが置かれている。開始のチャイムが鳴ると同時に一斉にそれを読みはじめた。
読み終わった者から順に白紙のノートに今しがた読んだ物語の感想を速記していき、審査員である先生に提出し感動の涙を涙コップから溢れさせた時点で優勝となる。
この学校での大会はレベルが高く毎回名文が生まれるが、先生たちはそれに慣れているのでそうそう涙は流してくれず今回も苦戦を強いられる。
「今年も良い感想文が出揃っていますが先生たちはなかなか泣いてくれません!」
アナウンサーは声を上げて実況している。
しかし、そのうち連続でくしゃみを始めた一人の先生から涙が溢れて止まらなくなり涙コップを一杯にした。
「あー今年の優勝者はなんと人間ではありませんでした!杉花粉さんです…ハッ、ハーックション!」
青春
公開:20/09/06 23:47
更新:21/04/09 02:51
空想競技

ことのは もも。( 日本 関西 )

日本語が好き♡
18歳の頃から時々文章を書いています。
短い物語が好きです。
どれかひとつでも誰かの心に届きます様に☆
感想はいつでもお待ちしています!
宜しくお願い致します。

こちらでは2018年5月から書き始めて、2020年11月の時点で300作になりました。
これからもゆっくりですが、コツコツと書いていこうと思います(*^^*)

2019年 プチコン新生活優秀賞受賞
2020年 DJ MARUKOME読めるカレー大賞特別賞受賞
2021年 ベルモニー縁コンテスト 入選

カントー地方在住
 

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