フリフリ

腰で回すフラフープは安定している。私はスマホの文字入力に集中した。
フリフリを始めた頃、腰の動きにつられてフリック入力をよく間違えていたのが懐かしい。
大歓声が聴こえる。
実際の競技風景はシュールだけど、会場のモニターでは選手のタイプ速度が仮想空間を走るマシンで可視化され、白熱のレースを繰り広げている。
私はここで最後のピットインだ。
チームの皆がスマホのメンテナンスに入り、フラフープも交換され、私は水分補給。
ピットインの判断と連携も勝敗を左右する。
入力に復帰すると、フラフープを高速回転しギアを上げ、タイプスパートをかけた。
ピットインせず逃げ切りにでたチームの背中を捉えた。スマホの入力動作が遅くなっている。
行けぇ！
一瞬早く、私の指が全ての文字を入力し終えた。
直後、スマホには祝福のメッセージが次々と届いた。レース後で疲れていたけどすぐに返す。
フリフリ選手はレスの速さも超一流だ。