ある父親の回顧録

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残された家族へ。
私が身体の自由を失ったのはとても突然の出来事だった。
その日は仕事が休みで鳥の鳴き声で目が覚め起き上がろうとした。でもその時点で私はこれから死ぬまで、この体制のまま固まっていた。
あの時は迷惑をかけた。
結果は寝ている間の脳内出血だったそうだな。
私の身体はちょうどその時の状態で固まったままで残りはこのまま過ごすことになるらしい。
厭なことに私の意識はハッキリとしていてお前たちに語りかけたであろう医者の話も私は聞いていた。
ただただ絶望しかなかった。
舌を噛みきれないか試したが本当に身体の自由は効かずにただただ一分一秒がゆっくりと過ぎていった。
幽体離脱が出来たのは十年くらい経った時だ。
最初は夢のようだった。
身体を自由にそれどころか風のように私は飛んでいる。
私は必死にお前たちに伝えようとしている。身体の寿命がなくなるまでこれは続けるつもりだ。
ありがとうと。
その他
公開:20/09/06 02:11
更新:20/09/06 02:20

Yukihiko,Tonitani( 千葉県 )

創作が好きで自分のペースで作品を書いていきたいと思います。
宜しくお願いします。

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