記憶のフック

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 彼は深い瞑想の中にいた。

 彼は記憶を喪失。一体、自分は何者なのか、日々、自分と向き合っていた。

「ごはんだよ」

 お世話になっている施設のおやっさんが、彼を呼びに来た。

「あまり根詰めなさんなよ。何かしとるときに、フッと思い出すこともあるぞなもし」
「はい」
「今日は新米じゃぞ♪」
「うわ~美味しそう♪」

 茶碗に、新米が盛られ、つやつやと美しかった。

「ささ、食べなされ♪」
「頂きます♪」
「どうじゃ?」
「うわ~、めっちゃ美味しいです♪」
「そりゃよかった♪」
「粒、大きいですね」
「新品種の新米じゃ」
「新米、デカッ!」

 彼はそう言うと、記憶のフックを辿るように、「新米、デカッ……」と、繰り返しつぶやいた。

「あっ!」
「どうなすった?」
「私、新米刑事《しんまいデカ》ですわ!」

 彼にとって、今日の新米の味は、忘れられないものとなった。
青春
公開:20/09/06 09:00
更新:20/09/06 02:01
#記憶喪失 #瞑想 #新米 #刑事

桃茂桃茂

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 桃茂桃茂(ももも・ももしげ)と申します♪

 2020年7月より、ショートショートガーデンさんに、作品投稿スタートさせて頂きました♪

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 エブリスタさんに、こちらとはまた違う作品を投稿させて頂いております♪

 https://estar.jp/users/154172809

 2021年9月より、noteさんへの投稿始めました♪

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 twitter : @momomo_momo4ge

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