かわいい孫なら

「人を外見で順位付けするのはダメ」と美少女コンテストの類がすっかり減り、代わって「かわいがる側」の情熱が注目を集め出した。

『かわいがり選手権』決勝。先攻は小鳥を掌に乗せた女性である。
「この子は文鳥の"おもち"！真っ白で食べちゃいたいくらいかわいいでしょ？」
そうアピールすると、パクッ！ゴクン。本当に食べてしまった。
「大丈夫、私まだ若いし、滅多に喉に詰まらせたりしないから！」

続いて登場したのは少年と老人。
「孫は世界一かわいい。目に入れても痛くないんじゃ！」
そう言うと、老人は目薬をさす時のように指で瞼をこじ開けた。
ま、まさか。
続く光景を想像して咄嗟に目を背ける観客たち。…が、何も起こらない。
「あっ！」
カメラマンが何かに気付き、老人の瞳をアップで映す。その黒目には、少年らしき絵が刻まれている。
「入れ墨は多少痛かったがの、これで一生、かわいい孫を目に入れておけるわい！」