真夜中の音

今日もまた、思うに任せないことがあった。

夏の暑さは少しずつ和らいできたけれど、まだ、すんなりとは寝つけない。

そんな真夜中、眠ろうにも眠れず、ふと散歩に出かけてみる。

ちょっと離れた公園へ。原っぱに寝っ転がる。東京の夜空は濁っているから、晴れていても星はまばら。

ダン、ダン、ダン。近くのバスケのコートから、少年が一心不乱にドリブルを突く音が聞こえてくる。

ガタンゴトン、ガタンゴトン。そろそろ終電だろうか。遠くの線路を走る電車の足音が聞こえてくる。疲れる一日を終え、大人たちが家路を急ぐ。

鈴虫のオーケストラを枕に、目をつぶる。夜には雑音がない。だから人が生きている証しの音が、よく響く。確かに伝わってくる。

耳を澄ます。

みんな、生きている。

そんな当たり前のことが、僕を勇気づけてくれる。