願い投擲

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「行けぇぇー!!」
会場中に威勢のいい声が響き渡る。
多くの選手が大きな石を持ち上げ、宇宙を目がけて投げていた。石と言ってもそれはそれは君達が想像するよりもはるかに大きくて、願いを叶えることのできる不思議な力を持った石だ。それを宇宙に向かって投げ、他の惑星に住む生命体の願いをどれだけ叶えられるかを毎年競い合っている。たくさんの願いを叶えた石は大きな一番星となって空に輝き、その石を投げた選手はその年の幸福を約束される。だから選手たちは必死に練習を重ね、どこかの惑星の幸せを願って、広い広い宇宙に向かって投げる。もしかしたら君達の空にも見えるかもしれない。その時は是非とも空を見上げて何かお願い事をしてほしい。だけれどもいつのことだったか、自分の勝利だけを考えた選手の投げた石がどこか青い惑星の奇妙な生命体を滅ぼしてしまったのはまた別のお話……。
ファンタジー
公開:20/09/05 13:37

やまアラシ( 九州 )

noteでも日々思いついたショートストーリーを細々と投稿中。理系大学生。将来も日々模索中。

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