いい禅

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ある山門に、禅宗の僧侶が集った。禅において最も大切な教えは「空」である。座禅を組み、心を「空」にして、己を見つめなおすのだ。
若い禅僧がずらりと並ぶ様子は壮観だった。
「これから空禅競技を行う。修行の成果を試すように」
銅鑼の合図とともに、修行僧たちは一斉に座禅に取り組んだ。早く、深く、「空」の境地にたどり着いた修行僧が優勝だ。
この様子はインターネットを介して全国に生中継される。
修行僧の裏側には、幾多の師匠たちが動き回る。少しでも心の揺れがみられる修行僧は、容赦なく警策で叩かれる。自分の弟子が他の僧侶に警策で叩かれる姿を見た師匠が、激高してチャットで食ってかかることもある。
それだけ厳しい競技なのだ。
優勝者は今年初参加の新人だった。彼は画面越しにコツを語った。
「コロナの時代だし、やはりリモート参戦に限るよな。自宅だと落ち着きがちがう。いまやe-スポーツならぬe-禅の時代だから」
公開:20/09/05 10:42

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