雌鶏型自動販売機　～箸休めシリーズ～

２丁目の角に大きな雌鶏がいる。卵の自動販売機だ。
50円入れてボタンを押すと雌鶏はプルプルと震え出す。
うんしょとばかりにポトっと卵が生まれる。
スポンジ付きの小さな受け皿があるので割れない。
袋のボタンを押すと左右に腰を振りながら紙袋入りの卵を生む。

卵がなくなると「次は明日の朝になります」と表示が出て、自動販売機は寝てしまう。

会社員も使う。ホットボタンを押すとゆで卵が出てくるからだ。
温泉卵ボタンもあって人気だ。

お母さんたちには有精卵が人気だ。
ボタンを押すと雌鶏はポッと顔を赤らめてトコトコと何処かへ行く。しばらくすると戻ってきて有精卵を生む。

有精卵が売れ残った時は、賞味期限の表示がゼロになることがある。
その時、自動販売機はうんうん唸りながら大きな卵をボトリと産み落とす。
卵からは大きなひよこが殻を破って出てくる。
ひよこは見る間に成長して新しい卵自動販売機になるのだ。