左手の恋人

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 右手でツヨシの左手をぎゅっと握る。
 
 昼下がりの公園。立ち並ぶポプラの木々。
 
 強すぎる日光に私は目を細める。
 
「暑いね、今日」
 
 ツヨシは同意しない。
 
 切なくて右を向く。
 
 だけど、ツヨシは私の顔を見てくれない。
 
 私は耐え切れず、正面を向く。
 
 母親に手を引かれた幼児がよたよた歩きつつ、こっちを見る。
 
 男女が手を繋いでいるなんて珍しくもないのに。
 
「いつかは子どもほしかったな」
 
 問いかけに反応はない。
 
「帰ろう」
 
 私はショルダーバッグの中に『左手』を放り込んだ。
ホラー
公開:20/09/06 00:02

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