煮ても焼いても生でも美味しい足あと

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ボクはなんて幸せ者なんだろう。自分の足あとをあげるだけで、みんなに喜ばれ感謝されている。何を隠そうボクの足あとは、今人気の栄養食なのだ。
「こんな美味しいもの、今まで食べたことない!ありがとう。」と、みんなは口を揃えて言った。一体ボクの足あとはどんな味がするんだろう。
 ある日の午後、駅前でボクはけっこう派手に転んでしまった。恥ずかしさをこらえて立ち上がろうとしたとき、ふと後ろを振り返ると・・・なんと!ボクの足あとが、こっちを見てばっかだなぁと言わんばかりに、ニヤリと笑っていた。くっそー。頭にきたボクは、足あとを乱暴につかんでガブリとかみついてやった。
 その瞬間ボクはまたもやフラッと倒れてしまった。そうだった!食べてはいけなかったんだ。食べた分だけつま先からどんどん消えてしまうという、この世界の掟を思い出したときにはもう遅かった。足あとはどんな味がしたかだって?ボクの身体はもう・・・。
その他
公開:20/09/05 16:36

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