魔法の斧
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俺の処刑が決まった。少し盗みすぎて、少し殺しすぎた。俺は条件を出した。
「殺されるなら、我が家に伝わる家宝の斧でお願いしたい」
処刑当日、空は澄み渡っていた。
俺は、罵声を浴びせてくる聴衆の前で正座をした。
処刑人は要求通り、家宝の斧で処刑してくれるようだ。俺がそんな要求をしたのは、親父の口癖を思い出したからだ。
『あの斧には魔法がかかっておる。どうせ死ぬなら、あの斧で死にてえもんだ』
親父は老衰で死んだ。どんな魔法かは知らぬ。
生き残る可能性があるかもしれぬ。
処刑人は斧を構えた。
「なにか言い残すことは」
「特にない」
処刑人は斧を振り下ろした。
俺の首は地面に転がる。やがて、意識を……。失わなかった。斧にどんな魔法がかかっていたか、わかった。
俺は首だけで生きていた。
「くそおやじめ……」
俺が笑うと、処刑人は首だけの俺を蹴飛ばした。
「殺されるなら、我が家に伝わる家宝の斧でお願いしたい」
処刑当日、空は澄み渡っていた。
俺は、罵声を浴びせてくる聴衆の前で正座をした。
処刑人は要求通り、家宝の斧で処刑してくれるようだ。俺がそんな要求をしたのは、親父の口癖を思い出したからだ。
『あの斧には魔法がかかっておる。どうせ死ぬなら、あの斧で死にてえもんだ』
親父は老衰で死んだ。どんな魔法かは知らぬ。
生き残る可能性があるかもしれぬ。
処刑人は斧を構えた。
「なにか言い残すことは」
「特にない」
処刑人は斧を振り下ろした。
俺の首は地面に転がる。やがて、意識を……。失わなかった。斧にどんな魔法がかかっていたか、わかった。
俺は首だけで生きていた。
「くそおやじめ……」
俺が笑うと、処刑人は首だけの俺を蹴飛ばした。
ファンタジー
公開:20/09/05 15:00
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