天喰う能代

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かつてのバスケ名門、能代先端技術高校は、いまや新競技ボルトアタックにおいて欠かすことの出来ない顔ぶれの一つだ。
国際大会はベネズエラ、マラカイボの湖上で行われた。

横に並んだ十二機の雷船が、千万ボルトの人工雷を受けて一斉にスタートを切る。
黒く固まった曇天から、無尽の雷光が降り注ぐ。各機独特の形状を持つ雷針が稲妻を受け止め、給電して加速する。
「2番、能代加藤、わずかにリードしています」
ドイツのベルクケーニヒが後を追う。
障害物を避け、ポイントサークルをくぐり抜けていく。ボーナスリングは遥か上空にぽつんとあった。
ベルクケーニヒはタイムを重視してまっすぐゴールへ向かう。加藤は湾曲した細長い雷針を空へと向けた。フロントの遮光レベルを下げ頃合いの雲を探していると、突如視界がホワイトアウトした。

空へと加速するコックピットで、目を閉じた加藤は成功するスリーポイントシュートを思い描いている。
SF
公開:20/09/06 07:00
空想競技

レオニード貴海( 某海なし県 )

さまようアラフォー主夫

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