火消し比べ

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一席お付き合い願います。
「火事と喧嘩は江戸の華」なんて言いますが、荒くれ者の火消したちが技を競い、やんやと喧嘩をしながら凌ぎを削ります。

「やい、め組の。肩で風きり幅きかせやがって、今日こそ決着つけてやらぁ」

「きゃいきゃい煩ェな、い組は犬っころかい。あんま吠えると弱く見えるぜ?」

「犬と猿かテメェら。その半纏は飾りかなんかかい?手ェ動かせ。や組が先ィ、行かせてもらうぜ」

「やんのかい?」「吐いた唾ぁ飲み込むなよ」「止めろといってんだ」

「先に消した組の言うこと聞くってなどうだい。」

「よしのった」

「負けとなりゃ世の恥。裸で逆立ちでもして江戸中回ってやるぜ」

口は悪いが腕は確か。江戸燃やす大火事の焔を熟練の技を以ってみるみる消していきます。しかし…

「め組が一番」「いやウチだ!」
争う3人に坊主が柄杓で水をかけ、一言。

「火消しが燃えてるから、水差そうと思って…」
公開:20/09/04 09:47
創作落語 火消し め組 空想競技

伽藍堂 無一文( 寄席 )

伽藍堂無一文(がらんどうむいちもん)
しがない噺屋風情が芸の肥やしにこちらで厄介になっております。
兄さん、姐さんがた、どうぞお見知り置きを。

たまに拝読、感想を残しやすが、
江戸弁忘れた時ゃ内緒にしといてくだせぇ。

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