サンダルウッド
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気分転換にお香を買ってみた。
安物で、バラエティショップでたまたま見つけただけのものだ。
円錐の上を火でちりちりと焼く。
とろり、と煙があがり始めた。
細く長く まるで帯締めみたいだ
揺れながら のぼる
天井で溶けて 消える
喉の奥に焼き付くような香り。
いつも彼がつけていた香水に似ている。
香水を変えてもこのラストノートは譲れないと言っで熱心に説明してくれた。
なんだったっけ…
別れてから随分経つのに、彼の荷物は置きっぱなし。
きっとそのうち「ただいま。久しぶり」と帰ってくる気がする。
そのぐらいに当たり前に部屋中に物がある。
飾り気のない私に飽きて、置き手紙ひとつでいなくなった。
相変わらず私は口紅ひとつ付けない。
香水の香りもひとつ知らない。
でも馴染んだものは覚えている。
この鼻腔をくすぐる、やさしい香り。
懐かしくて、今にも玄関が開く気がしてしまう。
安物で、バラエティショップでたまたま見つけただけのものだ。
円錐の上を火でちりちりと焼く。
とろり、と煙があがり始めた。
細く長く まるで帯締めみたいだ
揺れながら のぼる
天井で溶けて 消える
喉の奥に焼き付くような香り。
いつも彼がつけていた香水に似ている。
香水を変えてもこのラストノートは譲れないと言っで熱心に説明してくれた。
なんだったっけ…
別れてから随分経つのに、彼の荷物は置きっぱなし。
きっとそのうち「ただいま。久しぶり」と帰ってくる気がする。
そのぐらいに当たり前に部屋中に物がある。
飾り気のない私に飽きて、置き手紙ひとつでいなくなった。
相変わらず私は口紅ひとつ付けない。
香水の香りもひとつ知らない。
でも馴染んだものは覚えている。
この鼻腔をくすぐる、やさしい香り。
懐かしくて、今にも玄関が開く気がしてしまう。
恋愛
公開:20/09/04 00:46
色合いの綺麗な物語を紡ぎたい。
シーンごと切り取られた刹那。
不思議、恋愛、ファンタジー、怪談、純猥談などをチラホラと。
中身はお酒が好きなアグレッシブ。
Twitter: https://twitter.com/rainy02forest
note: https://note.com/tettio02
Radiotalk: https://radiotalk.jp/program/61359
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