ジャック・ザ・クライム

天空まで聳え立つ三つ編みの緑の塔。その巨大な豆の木は、バベルの塔を彷彿とした荘厳な出で立ちだ。その頂点は雲がかかり見えない。

「間もなく開始です。ジャック・ザ・クライム！今、選手たちが豆の木の下に集っております。」

実況者がマイクで中継をすると、カメラがズームし、ゼッケンをつけた筋骨隆々とした男たちを映した。皆、目に炎を宿すように殺気立ち、会場の熱気はピークを迎える。

「今、スタートです！」

にわとりの鳴き声で選手たちが一斉に豆の木を登る。いち早く登りきり、頂上の城にある"金の卵"を誰よりも先に手に入れた者がたった一人の勝者となる。

ある者は足を踏み外し、ある者は手が滑り次々脱落する。命綱で宙吊りになる姿は、どこか滑稽だ。

頂上へ上りきり、金の卵に近づく選手たち。そこへ男が立ちはだかる。

「Hi.俺はジャック。誰から切り刻まれたい？」

ジャックのナイフがギラリと光る。