フラワーゴルフ

私は頬を通り抜けていく爽やかな風を匂った。

「薔薇？ラベンダー？いや、これだ」

向日葵を花瓶から抜き、両手の人差し指で挟んで構えた。そして足下に置かれた丸い蜂蜜玉を見つめた。

ティーショットだ。

向日葵を太陽の方へ振り上げ、日光を花に吸収させてから一気に振り下ろして蜂蜜玉へミートさせた。ショットした蜂蜜玉は綺麗に弧を描きながら青空へ飛んでいった。そしてパンジー花壇を越えてからグリーンのカップに吸い寄せられるように進み、そのまま直接カップインした。

ホールインワン

観客はどよめき、私はがっくりと肩を落とした。

カップからはポチャンと音がした。

審査員はカップインした緑色のティーカップと他の選手のカップインしたティーカップをテーブルに並べて、フラワーティーのティスティングを始めた。しかし私のフラワーティーを飲む審査員の顔は険しい。

一打では花の香りがつきにくいのだ。